店長日記

The manager of CYCLECUBE

日記

19年目のコラム1:Why Steel?

自分のブログは日付を見たら実に2年振りの更新・・・元気にお店は営業してますが、この2年は自転車業界にとっては激動といえる期間で、主に価格高騰(沸騰?)の影響からかメーカーも代理店もお店も大再編といった感じです。

日々入ってくる新しい情報で頭の中をアップデートしていくことはもちろん重要ですが、こういう時こそ足元見つめて根本に立ち戻って考えることも同じく重要なので、激動の中でかき消されそうになる「そもそも?」についてここ数年考えていたことをつらつらと書いてみようかなと、19年目に突入したCYCLECUBE店長の超久しぶりのコラムです。


 

いきなりですけど、スチールフレームというとどんなイメージをお持ちですかね?

乗り心地が良い、細身のビジュアル、ホリゾンタル形状、ラグ溶接など色々あるとは思いますが、私のイメージは一言で言うと「自由」!

鉄は採掘・精製しやすく再利用も容易なため、長い歴史の中で様々な用途で活用されてきて自転車フレーム用としても最も長く使用されてきた素材です。

そのため他の素材に比べて合金の特性について多くの知見が得られていたり、成型・切削・溶接・塗装といった加工方法も成熟しているのと、カーボンやアルミのように金型やオートクレーブ、熱処理炉など大掛かりな施設が無くとも、メーカーから供給されるパイプやラグといったスチール部材を切削・溶接することで、比較的小規模な工房でも様々な特徴を持ったフレーム製作を行うことができます。

そういった小規模工房で作られるフレームは、実は自由そのものです。
ホリゾンタルもあればスローピングもあるし、ラグ溶接されるものもあればフィレット溶接されたり、細身のパイプもあれば、極薄の大口径のパイプもあったり、ノーマルの圧入ヘッドタイプもあればインテグラルヘッドタイプでカーボンフォークを合わせてみたり、自在に曲げ加工してみたり、、、

さらに小規模ゆえにお客さんから直接細かな要望や感覚的な要望を受けて形にすることで、より多くの製作経験が得られてさらに様々な工作が生み出されて、、、という好循環が起きているように見受けられます。

こんなことを考えるきっかけになったのは、2018年のサイクルモードで鶴岡レーシングさん(現・株式会社TR)のブースに立ち寄ったことでした。

NJS認定の工房なので日々トラディショナルな競輪フレームを主に作っているはずなのに、展示されていたのは斬新な製法やデザインのフレームばかり・・・

お話を伺うとぜひ工房に来てくださいとのことで後日見学させて頂き、フレームの製作工程や併設している塗装工場&オートクレーブについても細かく説明をして下さいました。

訪問した時の記事はこちら ↓↓

常にチャレンジをする本物の自転車工房でした

細かな部分まで気を使った製作の工程やできあがったフレームのバリエーションの多さや精度の高さ美しさなどを知れば知るほど、漠然と考えていたスチールフレームというものについて、考えを改めさせられました。

実はそんなに画一的なものではなく、フルカーボンフレームと同じように、重くて頑丈なグラベルもあれば、極薄で軽いレーシングフレームも作る事は可能で、むしろカーボンよりももっともっと自由度が高くて、メーカーの押し付けではない本当の意味で自分だけの一台を気軽に作る事ができるじゃないか・・・

そして、ただお客さんに「良い工房が埼玉にあるから行ってオーダーしてくれば」と言うのではなくて、最もお客さんの近くにいて自転車のメンテナンスをして乗り方まで熟知している(という自負がある)自分が工房とお客さんの橋渡し役になってオーダーをすることができれば最高なのでは・・・??
と考えるようになりました。

お客さんにとっても、全く知らない工房にいって一からオーダーするのも楽しいとは思いますが、もし自分のことを信頼してショップに通ってくれているのであれば、行きつけのお店で相談しながら自分だけの一台をオーダーできるのは大きなメリットになるんじゃないか・・・

更にはどうしてもNJSフレームの製作が優先になって、なかなかその技術力が一般サイクリストにまで認知されづらいTRさんのことももっと色々な人に知ってもらうきっかけになるんじゃないか・・・

そんな考えから当店のオリジナルブランド名を考えて、フレームを作ってもらうことにしたのです。

MAVERISMO(マーベリスモ)プロジェクト

どうせならこれからの主流になるDISCブレーキ仕様で作ってもらおうと、まだほとんど製作例がなかったところを頼み込むと、出来上がってきたKAISEI8630の前三角&Columbusの後ろ三角+MAXのフロントフォークからなる試作のエンデュランスロードがもうびっくりするぐらい軽快にストレスなく走ったので、ほぼ試作車と同じ仕様で1″フォークでタイヤ幅28㎜想定のシンプルロードと、タイヤ幅40㎜程度まで想定でOSフォーク仕様のグラベルロードの2種類を試乗車としてオーダーしました。

 

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デザインはとにかくお客さんの目に留まるようなものにしたかったのと、自分の好みもとことん入れて(笑)1″ロードは工房でおすすめしてもらったクロマシャインという特殊塗料のパープルとブラックのツートン、OSグラベルはまるでメッキのような艶のキャンディカラーのオレンジとブルーのツートンです。

1″ロードのほうはGROWTAC EQUALコントロールレバー&機械式ブレーキ仕様で組み立てて店頭にありますのでお声掛け頂ければいつでも試乗可能です。

せっかくフレームを用意できたのに、日々の作業に忙殺されて紹介ページも作らずにいましたが、なんとこの2年ほどの間に店頭でフレームを見て興味を持ってもらったお客様から4台も注文を頂くことができました。

そして今回お客様から新規でオーダーが入ったので相談のため工房を訪問する際に、サンプル等で飾られているフレームをお借りして店頭に飾ってポップアップをやってみるのはどうだろう!とふと思いつき、TRさんのご厚意により4本のフレームをお借りすることができたので、今週から「MAVERISMOスチールフレームPOP-UP」開催します!

MAVERISMOのDISCロードだけでなく、こんな製作もできるんだよ!というサンプルフレームを飾っています。

詳しくはCYCLECUBEのWEBサイトに掲載しましたので、スチールフレームに興味のある方のご来店お待ちしております!!

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